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あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で輝くライフスタイルを!

植物のめぐみを取り入れたライフスタイル「BOTANICAL LIFE」を、テーマ別に週替わりでご紹介します。
植物の世界からあなたに届く「美しい贈りもの」です。

2016.09.30

Botanical Journey

Botanical Journey3
京都府立植物園、花と植物で体験する古都の自然

自然豊かな京都の街。そこに住む人にはもちろん、世界から訪れる人々にも寄り添う美しい木々や花々。今回のBOTANICAL JOURNEYは、日本の四季の美しさを伝え、古都の歴史ある森を守る「京都府立植物園」をご紹介します。 

京都の自然の歴史を伝える植物園

「京都府立植物園」は、大正13年(1924年)1月1日に開園した、日本で一番歴史ある公立の植物園です。東に比叡山を望み、西に加茂川の清流を背景とし、京都御所の面積の2倍以上である24万平方メートルという広大な敷地は、植物園のために土地を開墾したのではなく、この地に昔からあった自然環境を残して作られています。例えば、古代の京都の地にあった植生、自然の水辺を残し、四季それぞれの美しさを楽しめる静かな自然林「なからぎの森」。そこは特に秋の景観が素晴らしく、紅葉の隠れた名所の一つとなっています。そして、もう一つが「楠並木」。京の四季の移ろいや情緒ある町並み、史蹟が数多く登場する川端康成の小説「古都」の中にも登場し、地元・京都府民だけでなく、文学に親しむ全国の人々からも、心落ち着く散歩道として愛されています。

(楠並木)

時を超えて伝えられる京の植物愛

都市でありながら自然豊かな京都の街。人々は昔から美しい自然をとても身近に感じながら生活してきました。植物がきれいで生き生きとしているからこそ、それを取り入れた美味しい食べものや、京都ならではの文化が生まれています。そんな植物愛が詰まったのが、この「京都府立植物園」です。実は、園内には、ここを愛する歴代の園長やスタッフ、そして市民自らが世界各地に出向き、自費で買い付けてきた植物も多いそうです。植えてすぐにかたちにならなくても、「20年後には花咲くかもしれない」、「30年後には大変珍しいものになるかもしれない」、時の流れを見つめた先人たちのそんな粋な願い、思いやりの心がたくさん詰まっています。 

写真の「シダレエンジュ」は、1934年に菊地秋雄元園長が中国北東部から持ち帰り接ぎ木して増やしたもので、今では植物園の見所のひとつとなっています。 

「源氏物語」の四季の世界を届ける植物たち

また、ここでは一年を通して「源氏物語」に登場する植物を園内いたるところで見つけることができます。 紫式部によって書かれた古典文学「源氏物語」は、日本の花の歴史を知る上でも重要な文献の一つです。54帖からなる物語の中で、1帖から10帖のうち9帖までに植物に関しての題名がつけられ、描写も植物を背景にしているものが多く、植物とともに京の四季の風情を知ることができます。特に平成20年(2008年)、源氏物語が歴史に登場して1000年という節目を迎えたことで、源氏物語に登場する植物を園独自にピックアップした、源氏物語「花」の案内地図が作られ来園者に人気になっています。 春は「アヤメ」「サツキ」「フジ」。夏は「クチナシ」「ツユクサ」「ムラサキシキブ」。秋は「オミナエシ」「キキョウ」「シオン」「カエデ」。そして冬は「ツバキ」など、季節ごとに40種類以上の花や植物と園内散策で出会うことができます。「源氏物語が大好きだから」「源氏物語ファンで」という理由で植物園を訪れ、その世界に浸っている人も数多くいらっしゃるのだそうです。

(左: オミナエシ/中央: キキョウ/右: カエデ)

植物と共に地球を巡る観覧温室

日本古来の花や植物と出会える「京都府立植物園」。実は、もうひとつの魅力が、世界各地の個性的な植物が豊富に育てられていることです。日本最大級の規模で多様な植物が育てられている観覧温室では、「ジャングル」「砂漠サバンナ」「高山」などとまるで地球の個性的な土地や気候を巡っているかのように、植物の世界を歩いて観て回ることができます。 

京都で生まれ、子供のころからこの「京都府立植物園」で植物に親しんで来た現園長の長澤淳一さんをはじめ園のスタッフが何よりも心がけているのは、「植物をいい状態で見てもらう」ということ。園長自身がまだ若い頃、自らマダガスカルに出向き買い付けしてきた「バオバブ」は、植物園に迎え入れて15年目を迎える今年、初めて花を咲かせたそうです。また、映画「スターウォーズ」に登場するダースベイダーに似た「アリストロキア・サルバドレンシス」など、珍しくてユニークな花や植物もたくさん。 奇をてらった上辺だけの「きれい」ではなく、きちんと栽培することで、植物たち本来の魅力溢れる植物園を日々目指しています。

(左: バオバブ/右: アリストロキア・サルバドレンシス)

四季の花や植物の魅力を再発見

京都という土地の歴史や自然、人々とともに歩んできた「京都府立植物園」。季節ごとに桜、梅、しょうぶ、つばき、あじさいなど日本の四季の花も見られ、竹や笹など日本情緒溢れる景観もいたるところに造られています。1年を通し、いつ出かけても自然をゆっくりと体験出来る環境が整えられており、週末ごとに植物教室、観察会、園芸相談なども行われ、府民の植物との触れ合いを積極的にサポートしています。
 
「ここは民間ではなく“京都府立”ですから、美術館や博物館と一緒で、文化施設という扱いです。儲けばかりを重視せずやっていけるのが強み。それに、“植物のために使ってください”と寄付してくださる府民の方もいらっしゃいます。恵まれた環境で、長く愛されてきたこの植物園は大変幸せものです。神社仏閣を目当てに観光に訪れた方には、ぜひその近くにある植物にも注目してもらいたいです。京都体験を植物がもっともっと魅力的なものにしてくれることを願っています」(長澤園長)
 
京都府立植物園の入場料は200円、年間パスポートはなんと1000円と驚く程お手頃。これを手にするだけで、まるで古都に“住む”かのように、京都ならではの自然や植物の魅力を満喫することができます。



京都府立植物園
JR「京都」駅(近鉄「京都」駅、阪急「烏丸」駅)から京都市営地下鉄「北山」駅下車3番出口すぐ、又は「北大路」駅下車3番出口を東へ徒歩約10分。
京阪「出町柳」駅から市バス1系統または京都バス「静原」「市原」行きバス停「植物園前」下車徒歩5分。
植物園開園時間:9:00〜17:00
観覧温室:10:00〜16:00
休園日:12月28日〜1月4日(この期間以外は年中無休)

2016.09.23

Botanist

Botanist6
プラントアーティスト・川本諭さん
植物でスタイリングする「グリーンな時間と空間」

靴の中から顔を出したシダの葉や蔓など、さりげない日常の空間に意表をついて現れる植物との出会い。プラントアーティスト・川本諭さんのアートワークはどれも、ひと目で「ちょっとした驚き」を感じる斬新なものばかりです。その誰にも真似できないセンスに、ニューヨークでも熱い注目が集まっています。 

植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今月はプラントアーティストの川本諭さんがグリーンで創る独自の世界観と、植物に託した思いをお届けします。

きっかけはミルクブッシュとの出会い


川本諭さんが植物に魅了されるきっかけとなったのは、高校生のとき。たまたま学校帰りに見つけた枯れかけの「ミルクブッシュ」を安く譲ってもらったのが、今に繋がる「グリーン」との出会いでした。
 
ミルクブッシュは、ほとんどが幹と枝だけで、小さな葉っぱがところどころについているユニークな見た目の多肉植物。自分で育ててみたところ、すごい勢いで2倍にも3倍にも大きく育っていく生命力に感動。当時は今よりも珍しい植物だったため、不思議な姿の植物がすくすく育っていく様に、まるでペットを飼っているような衝撃を受け、すぐに虜に。その後、セロームやサボテンなどの植物を育てるようになり、川本さんの生活空間もグリーンで溢れてゆきます。植物の魅力は、生活の空間に葉っぱ一枚でもあるだけで、命がフッと湧くような気持ちになれるところ。ミルクブッシュとの出会いによって感じた生命力で、植物こそが人々の暮らしに潤いを与える“理想のパートナー”だということを、無意識に感じとっていたのかもしれません。

グリーンの声が聞こえる! 川本諭のクリエイティブワーク

もともとフィットネスクラブのトレーナーをしていた川本さんは、その植物の趣味を仕事にしたいと考えて、23歳で職を変えることを決意。フラワーショップを新規に併設予定だったアンティークショップの門をたたき、7年間務めた後、自身のアンティーク&フラワーショップを運営、植物をとりいれたカフェのプロデュースやショップのディスプレイなどにも活躍の幅を広げていきます。もともと植物と同様にインテリアにも興味があり、ファッションも好きだったというセンスと経験をうまく混ぜ合わせ、独自の表現を作り上げてゆきます。 

トートバッグに入れてさりげなく置かれた鉢植え。冷蔵庫の中に野菜と一緒に並べられた多肉植物の鉢植え。 アンティーク雑貨と個性的なプランツを組み合わせた空間演出やインテリア。 川本さんのクリエイティブに触れると、グリーンがまさに生きもののように私たちに語りかけてくる気分になり、植物と毎日の距離がぐっと縮まるのを実感します。

ニューヨークのライフスタイルショップ、「GREEN FINGERS MARKET」

「植物を人々のより身近なものにしたい」川本さんがこれまで発信し続けてきた自分のメッセージに、より自信を深めたのは、ニューヨークとの出会いです。植物に対して自由で自然体なニューヨーカーたち。普段、日用品や食品を買う街のデリでも必ず切り花が売られ、それを日常的に買って持ち歩く人々。鉢植えの植物を週末の気分転換にサラッと買ったり、出会いの感謝を表すためプレゼントする習慣。植物が生活に自然に溶け込んでいるそんな雰囲気が、川本さんの植物に対するスタンスとマッチ、自分でも驚くべき早さでニューヨークという街に自分の居場所を見つけ、馴染んでいくことができました。2015年にニューヨーク、ダウンタウンにオープンした川本さんのライフスタイルショップ「GREEN FINGERS MARKET」。すでに何十年もその場所にあるかのようなたたずまいを見せ、隣人に愛されています。 

 そして、もう一つのニューヨークでの象徴的な出会いが、カリスマスタイリストのパトリシア・フィールドとの出会い。テレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」や映画「プラダを着た悪魔」などのヒット作を支えた彼女と意気投合。ニューヨークらしくワイルドでボヘミアンな「グリーン」の表現を認められ、彼女のショップにはじまり、その後、自宅の庭やグリーンインテリアの施工を手がけてゆきます。「植物のようにオーガニックでブレない生き方をしたい」自分がそうあるべきという哲学とコアにこだわる大切さを知るパトリシア・フィールドと川本さんの重なる思いです。

「GREEN HOTEL

ニューヨークの隣人に愛される存在となった「GREEN FINGERS MARKET」。川本さんが目指す次なるチャレンジは、植物をメインとしたインテリアを取り入れてホテルを作ること。6部屋ぐらいの小さなホテルで、コンセプトはニューヨークの四季の生活感を感じられるような空間。1年中、世界各地からの観光客の集まるニューヨーク。植物を育てたことがない人が来て泊まったら、植物がある空間を楽しいと思ってもらえ、普段の生活に戻ってもグリーンにこだわってゆくような意識が芽生える、そんなホテルを作りたいのだそうです。植物に携わる仕事をはじめてから決してブレることのなかった「僕の作る空間を見て“何か”を感じて欲しい」という思い。その“何か”というのは、ファッションやライフスタイルと同じように、グリーンのある生活や時間をもっと楽しんで欲しいということです。
 

ちなみに、これから初めてグリーンを生活に取り入れようと考えている人に、川本さんがまずアドバイスするのが「ひと鉢から育てる」ということ。まず、ひとつ家に持ち帰り、育ててみる。植物と向かい合うことで、植物は何をあなたに語りかけてくれるでしょうか。





川本諭 (かわもと・さとし) 
GREEN FINGERSクリエイティブディレクター /プラントアーティスト。1974年 東京生まれ。グリーンがもつ本来の自然美と経年変化を魅せる、独自のスタイリングを提唱するプラントアーティストとして活動。三軒茶屋「GREEN FINGERS」をはじめとする、自身のディレクションによる植物を中心としたライフスタイルショップを、東京、NYなどに展開するほか、ショップの空間スタイリングなど、グリーンのみにとどまらず、幅広いジャンルのディレクターとしての活動も行う。近年はグリーンの美を表現する個展も展開し、グリーンと人との関わり方をより豊かに、身近に感じてもらえるフィールドを開拓している。著書は『DECO ROOM with PLANTS』(BNN 新社)、『DECO ROOM with PLANTS in New York』(BNN 新社)、『DECO ROOM with PLANTS here and there』(BNN 新社)など。

2016.09.16

Botanical Recipe

Botanical Recipe6
味も見た目もセンスアップ! フルーツを使った「カスタムサラダ」の作り方

「野菜」や「ハーブ」を使ったメニューや料理のコツを、人気シェフや料理家といった“食のプロ”に教えていただく「ボタニカル・レシピ」。
 
フードコーディネーター・柳瀬久美子さん提案の「カスタムサラダ」。3回目となる今回のテーマは、“フルーツを取り入れたカスタムサラダ”。季節のフルーツと野菜を組み合わせた甘酸っぱくて美しいフルーツサラダは、実りの秋を迎えるのにぴったりです。

(メロンときゅうりとミントのサラダ)


「甘くてしょっぱい」フルーツサラダの魅力

自分好みの野菜を自由に組み合わせてつくる最新のサラダスタイル「カスタムサラダ」。組み合わせ例のひとつとして、ぜひおすすめしたいのがフルーツと野菜を組み合わせたサラダです。その魅力は「甘くてしょっぱい」という独特の味。 “生ハムとメロン”や“洋梨とブルーチーズ”など、イタリアンによく見られる「しょっぱいものと甘いものの組み合わせ」は、一風変わった、でも病みつきになるおいしさを持っています。これがサラダをより楽しくおいしく食べるのに一役買ってくれるというわけです。
 
甘酸っぱいフルーツと、サラダのドレッシングに使うこしょうや塩の風味は思った以上に好相性。全体的にさっぱりと仕上がる味わいや、フルーツの美しい色合いで、味も見た目も食卓をより魅力的に飾ってくれます。

フルーツと野菜は「色」で組み合わせるのが基本ルール



ちょっと難しそうに思える野菜とフルーツの組み合わせ方ですが、ポイントは「同じ色合いのものは、味の相性もいい」ということ。例えば、色合いが同じグリーン系のメロンときゅうりとミントや、レッド系のイチゴとトマトなど。さらにグレープフルーツとカブやパインとキャベツのように、色合いが微妙に重なっていれば味の相性も良いことが多いそうです。加えて、ウリ科の“メロンときゅうり”のように同じ「科」で野菜と果物を組み合わせてみるのも味が整う秘訣です。
 
おいしいフルーツサラダのコツとして、もうひとつプラスで覚えておきたいのが「桃とこしょう」の組み合わせ。桃のほんのりとした甘さに、ブラックペッパーのピリッとした良い香りがふんわり広がり、相性抜群です。

ドライフルーツはカスタムサラダのトッピングに!


トッピングとしてカスタムサラダに重宝されるのがドライフルーツです。抗酸化物質や食物繊維を多く含んでいるため、美容と健康に良いのはもちろん、その食感と甘さも魅力。サラダをずっと食べ続けていると、違った食感のものが欲しくなったり、ほんのりとした甘さが欲しくなったりします。そんなときに飽きずにサラダを楽しむのに、ドライフルーツはちょうど良いアクセントになってくれるのです。
 
柳瀬さんは日頃からレーズンやドライいちじく、セミドライのクランベリーなど数種類のドライフルーツを常備。噛むほどに濃厚な甘みが増すレーズンはコールスローサラダの定番トッピングで、りんごやさつまいものサラダにもよく合います。プチプチした食感が癖になるドライいちじくは、生ハムやチーズと相性が良く、酸味が利いたドレッシングを合わせるとより深い味わいに。クランベリーは、酸味の強さでサラダ全体の味が引き締まるのと、キレイな赤色で、サラダの見た目がより華やかになります。手軽にサラダに加えられるドライフルーツは、日持ちする食材なので自宅にストックしておくと、とても便利です。

レモンが効いたさわやかな風味! 「メロンときゅうりとミントのサラダ」

季節は夏から秋に、この季節にぴったりの「メロンときゅうりとミント」を組み合わせたフルーツサラダの作り方を紹介しましょう。メロンときゅうりは身体をクールダウンする効果があるため、夏の疲れが残るこの時期にもぴったりのサラダです。
 
まず、メロンときゅうりはひと口大に切り、ボウルに入れてミントリーフを散らします。そこにレモン果汁のドレッシングをかけて出来上がり。レモン果汁のドレッシングは、ボウルにレモン果汁の絞り汁と、塩とホワイトペッパーを適量入れて塩が溶けるまで混ぜ合わせます。そこに、オリーブオイル、グレープシードオイル、レモンの皮のすりおろしを加えて完成。ここで使うホワイトペッパーは、ペッパーミルを使って挽きたてのものを使うと、香りが立ってよりおいしくいただくことができます。またメロンときゅうりは気持ち大きめに切ったほうが食感が楽しめます。このサラダはミントとレモンの味がしっかりと利いているので、すっきりとした飲み口のシャンパンやスパークリングワインなど、食前酒にもよく合いそうですね。

カスタムサラダで始めるヘルスコンシャスな暮らし


何と何を組み合わせようか考えたり、意外な組み合わせにチャレンジしたり、「カスタムサラダ」の魅力は知れば知るほど広がります。もしセレクトする野菜やトッピングに迷ったら「今日は何が食べたい?」と自問自答してみることもおすすめです。自分が食べたいと思うものは、今の自分の身体が欲しているもの。難しく考えずにメニューに取り入れていくこともカスタムサラダを楽しむコツといえるでしょう。
 
「カスタムサラダ」は例えるなら、自分だけのオリジナルパワーフード。 相性の良い食材などを知識としてストックして、レパートリーを増やすことも大切ですが 自分のペースで上手に食生活に取り入れて、楽しくヘルシーな毎日を送りましょう。


 
柳瀬久美子(やなせ・くみこ)
レストランや洋菓子店などでの修行を経て、渡仏。エコール・リッツ・エスコフィエでディプロマを取得。帰国後、独立し、書籍や雑誌、広告などで幅広く活躍中。本格的な味わいで美しい料理に定評がある。自宅では料理教室とお菓子教室を主宰。
 
2015年6月に発売された『カスタムサラダ』(朝日新聞出版)は、自分で好きなトッピングや組み合わせを選んでつくるカスタムサラダのレシピ本。おいしくつくるサラダのルールにはじまり、葉物野菜ベース、穀物ベース……とベースの野菜別で紹介するサラダレシピや、フルーツを使った色鮮やかなフルーツサラダのレシピを収録。今話題のカスタムサラダを家庭でも楽しむことができる1冊となっている。

2016.09.09

Botanical Books

Botanical Books6
写真集「世界遺産 屋久島」が綴る荘厳な自然と悠久の時間

写真家三好和義さんは、タヒチ、セイシェル、ハワイなど「楽園」をテーマに数多くの作品を発表され、同時に「富士山」「京都」「仏像」などにも撮影対象を求められています。そして、9年という歳月をかけて撮影に挑んだのが「屋久島」。写真集「世界遺産 屋久島」には、荘厳な「自然」と地球が歩み続けてきた悠久の「時間」が収められています。 

「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などを毎回お届けする「ボタニカル・ブックス」。今月は、三好和義さんの写真集『世界遺産 屋久島』をご紹介します。

森と水の島 屋久島とは

1993年、青森県・白神山地とともに、ユネスコの世界自然遺産として正式登録された屋久島。南西諸島の北の端に位置し周囲132キロメートルの大きさを持つこの島は、標高2000メートルにせまる花崗岩の隆起によってできた高山を有し、豊かな自然が生まれる環境に恵まれていました。南国の蒼い海に囲まれ、山の斜面に沿って上昇した空気が冷却され雲ができやすいことから、非常に雨が多く、年間降雨量は同じ九州・鹿児島と比べても2倍。特に山間部は世界有数の多雨地帯と言われ、この雨が世界でも類いまれな森を作り上げたのです。土地の90%が森林で成り立ち、日本列島の縮図となる亜熱帯から亜寒帯に及ぶ気候環境がそれぞれの標高に合わせて垂直に分布し、多様な動植物が高い密度で存在しています。

そして、島のほぼ中央に位置し、そこに至る険しい道程のため、まだ人の目に触れて半世紀という屋久島の象徴「縄文杉」。その樹齢も未だ謎に包まれていますが、周辺の森のいたるところで、1000〜2000年を越える樹齢の巨木たちが森の長い歴史を今に伝えています。

写真から伝わる屋久島の自然の息づかいと命

巨木と歩んだ森の長い歴史と、豊かな雨水が作り上げた島の自然が見せる様々な情景。9年にわたりこの島を訪れ、深く森に入り撮影し、屋久島を細部にまで捉えたのが三好和義さんの写真集『世界遺産 屋久島』です。厚い苔で覆われた岩、深い緑を写す水の流れ、重なり合う樹々の葉や枝。一つ一つの写真から濃厚な森の空気が伝わり、三好和義さんが撮影で出会った光景を強烈に共有体験することが出来ます。

屋久島では大地に根をはる長寿の樹々も、それ自体が小宇宙のように動植物の命を育み、屋久島の森をより豊かにしているといいます。 瑞々しい苔をよじのぼるカエル、青空を写した水面に揺れる木の葉。この豊かな森と水の存在は、同時にこの地を命が繋がる場所にしています。

「屋久島」は、長い時間をかけて作り上げられた「豊かな生命の営み」の場でもあるのです。

森に流れる悠久の時間

木を敬い、木に自然界の魂や神の存在を見てきた日本の歴史文化。「屋久島」の森や巨木の存在は、長い歴史の中で作り上げられてきた日本の文化の象徴、心的風景そのものとされています。「大切なものを残して行く」。三好和義さんの作品につねに流れるこの創作の意思が「屋久島」に向かったのも、当然の出会いだったのかもしれません。

『世界遺産 屋久島』その巻末にはこんな自身の言葉が綴られています。

「気持ちが高まってくるとファインダーの中に映る苔むした風景が京都の庭に、滝やゆっくり動いてゆく霧が龍の姿に、地面につきささった倒木が仏像に、木々の間の巨木が五重の塔に見えてくる。(中略)手つかずの原始の姿を残した自然の姿こそが美術品であり、芸術の極地ではないだろうか。日本の中にも探してみれば、まだそういう美しい場所が残されている。先祖から受け継いだこれらの遺産を壊すことなく大切にし、未来に残し伝えてゆくことはたやすいことではないが、そのために美しい写真を撮ることは意義のあることだと思う。1枚の写真には多くのメッセージを込めることができる」

屋久島の森に足を踏み入れるということは、その自然を体験することと同時に悠久の時間に包まれるということ。三好和義さんの撮る一つの写真で私たちが体験出来るのは、風景や空気感といった視覚や肉体の感覚だけではなく、地球や人の歩んできた歴史や時間、魂の世界と語り合うという心的行為であるともいえるでしょう。 

写真集『世界遺産 屋久島』。ページをめくりながら屋久島に流れる荘厳な自然と時間、未来へ贈るメッセージを、是非感じてみてください。 

『世界遺産 屋久島』(小学館)



三好和義最新写真展情報
三好和義が撮る「日本の世界遺産〜九州山口の産業遺産から富士山まで」(仮)
■日程 10月19日〜25日
■会場 日本橋三越本店 1階中央ホール
日本の世界遺産のすべてを撮影している三好和義さんの日本で初めての「日本の世界遺産」をテーマにした写真展です。今回ご紹介した「屋久島」をはじめ、「小笠原の自然遺産」、「富士山」、「姫路城」などのハイライトが展示されます。

三好和義(みよし・かずよし)
写真家。1958年生まれ、徳島県出身。実家のバナナ農家で南国を感じながら成長したことから、「楽園」をテーマに世界各国を撮影し続ける。1985年発表のデビュー写真集『RAKUEN』(小学館)はベストセラーとなる。1986年 第11回木村伊兵衛写真賞、2004年 藤本四八写真文化賞を受賞。2014年 ニッコールクラブ顧問就任。著書は『富士山』(講談社)、『伊勢神宮(日本の古社)』(淡交社)、『世界遺産 小笠原』(朝日新聞出版)、『世界遺産 屋久島』(小学館)など多数。

2016.09.02

Herbal Life

Herbal Life6
花が五感を刺激する。デジタルで再発見する植物の世界「FLOWERS BY NAKED」

私たちの身近にある、花々や草木。花屋でお花を買ったり、贈られたりと、特別な機会がないと改めて「植物の世界を意識する」という感覚にはなりにくいものです。色、かたち、香り。実は植物には、私たちの“五感”を魅了する魅力がたくさん詰まっています。
 
9月のハーバルライフでは、六本木にある東京ミッドタウンにて8月31日まで1ヶ月にわたり開催され、独創的な演出と世界観で話題を呼んだ「フラワーズバイネイキッド(FLOWERS BY NAKED)魅惑の楽園」をご紹介します。

「自然」×「デジタル」で、五感を刺激


「フラワーズ」というだけあって、主役はもちろん花。でもそれだけではありません。「フラワーズ」とは、グリーンや鳥など、命あるものすべてが息づく楽園を象徴しています。生花、オブジェ、映像、インタラクティブ、香り、飲食などの要素に、五感を刺激するさまざまな演出が凝らされ、訪れた人々が何かを体感する楽しみが「フラワーズ」の世界には溢れています。
 
会場に入り圧倒されたのが、「自然とデジタルのコラボレーション」。例えば、巨大なクジャクの羽根をモチーフにした壁面アート「MOSAIC FLOWERS」。モザイクアートで出来た羽根の前に立つと、目の前にふわりと「自分の花」が咲き、花言葉が表示されます。また、夏のひまわりをイメージして作られたオブジェ「SUN FLOWER」では、オブジェに触れることでマッピングが反応し、花びらがひらひらと美しく舞い落ちます。また、花をモチーフとしたオリジナルカクテルやコールドプレスジュースを味わえるバーも設けられ、熱帯ートロピカルがテーマの館内演出に合わせてBGMにはボサノバが流れたりと、五感を刺激する様々な仕掛けがされています。 
MOSAIC FLOWERS
 
SUN FLOWER

自然が「非日常」で「ファンタジー」?

この「フラワーズバイネイキッド」は、今年1月〜2月にも約1ヶ月間に渡り開催され、70000人を超える人々を魅了したイベント。手がけたのは、クリエイターカンパニー「NAKED」。新江ノ島水族館のナイトアクアリウムをはじめ、東京タワーや名古屋テレビ棟の展望台演出、市川染五郎主演の歌舞伎ラスベガス公演の空間創造を手掛けるなど、世界でも注目を集めています。 

総合演出を務めたのは、NAKED代表の村松亮太郎さん。手を触れると葉を閉じる植物があったり、森に足を踏み入れたら何かが起こったり。私たちが自然に触れると起こる様々なアクションをデジタル技術で提案しています。ただ、使うのはデジタルであっても、その使い方はあくまで画家にとっての筆のような感覚。最新のテクノロジーを使っているからといって、それに使われてしまうのではなく、いかに人に寄り添えるか、人にとって気持ち良いことができるか、という考えで演出を施しています。
 
大阪、シカゴ、東京。生活の拠点がずっと都会だった村松さんにとって、自然は、「ファンタジー」。あくまでベースは都会に置きながら、たまに自然に触れて「非日常」を味わう。そんな都会っ子の感覚が、まさに都会の真ん中で植物の世界を五感で味わうという「フラワーズバイネイキッド」の世界観に繋がったのです。 

植物が現代人の“五感”を蘇らせる


見たり、触れたり、匂いをかいだりと、植物を楽しむのはまさに「感覚」。そんな「感覚」や「感性」が、都会に暮らす私たち現代人は、日々衰えていっているのではないかと村松さんは感じるのだそうです。
 
「感覚や感性は、“速い”ものなんです。人は、何かを感じて、脳に伝え、言葉に変換し、理解します。その、脳内での変換作業の前段階が、感覚や感性です。インターネットで大量の情報が毎日流れ込み、その善し悪しを判断せず、ただただ情報を取り込むというのは、感覚を使わない“作業”になってしまいます。身体全体で感じる“気持ちいい”や“いい匂い”、そういったものを退化させないでほしいんです。イベントに訪れたお客さまは入場時と退場時の顔つきが違いますね、と言われたことがありますが、それはその方の感覚や感性が植物によって刺激されて、本来の姿が蘇った証拠なんじゃないでしょうか」
 
都会で暮らす日々の生活の中でも、身体全体で感じる心地よいという感覚に、実はたくさん気づくことがあるのかもしれません。街角で見かけた花の美しさに思わず立ち止まったり、お部屋に生けた花を見て華やいだ気持ちになったり、ハーブティーの香りに癒されたり。お肌と向き合いスキンケアをするときのクリームの感触や香りに、ふとやすらぎを感じたことはないでしょうか。花や植物に触れた時に感じるような素直な「感覚」を大切にしていくことで、「五感」が刺激され、より豊かで美しい生活が手に入れられるのではないでしょうか。
 
FLOWERS BY NAKED
http://flowersbynaked.com