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あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で輝くライフスタイルを!

植物のめぐみを取り入れたライフスタイル「BOTANICAL LIFE」を、テーマ別に週替わりでご紹介します。
植物の世界からあなたに届く「美しい贈りもの」です。

2016.08.26

Botanist

Botanist5
写真家 小林廉宜さん〜森の撮りかた、愉しみかた

未来に残したい森があると聞けば、世界中どこへでも出かけ、写真を撮り続けてきた写真家の小林廉宜さん。 その撮影でいつも心がけているのは、森を心の目で見つめ、森の声に耳を傾けることです。 

植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今月は小林廉宜さんの最新の旅と写真家としての原点、そして世界の森の撮影を通して知った、森を撮るよろこび、愉しみかたをご紹介します。

世界最古の樹との出会い


マダガスカルの「バオバブの森」、ドイツの「黒い森〜シュヴァルツヴァルト」、ブラジルの「アマゾン」、ロシアの「タイガ」、そして日本の「屋久島」、「白神山地」。 世界中の未来に残したい森を撮り続ける小林廉宜さんの最新のプロジェクトは、「世界最古の樹」に会いに行く旅でした。2008年に世界最古と認定されたスウェーデンのフルフジェーレットにある樹「ヨーロッパトウヒ」。その推定年齢は9550歳。 放射線炭素の測定によって明らかにされたその生命の歴史は、氷河期が終わって間もないころから続いている計算になります。
 
9000年以上生きる古木と言えば、巨大に成長した姿を連想しますが、この樹の高さは5メートルほど。厳しいツンドラ気候の中で一度は冷凍状態となりましたが、ここ1世紀の気候の変化で解凍され再び成長を続けています。小林さんがこの樹を目指した目的は、9000年以上生きる生命に触れ、その生命を育む土地や環境の中に自らを置く事で、何を感じることが出来るかを知るため。樹を濡らす雨、樹を揺らす風、天上に広がる雲、そして、太陽。ここではそのすべてが一体になって、この樹の存在を特別なものにしています。ひとり樹に寄り添い、この樹が聞く風の音を一緒に聞くことで、最も強く感じたことは、今、この時代にこの樹と会えたことへの感謝の気持ち。小林さんにとって樹は撮影の対象である前に、まず「会って語り合う存在」なのかも知れません。

子供の頃の夢は「未来に残したいものを撮ること」

小林廉宜さんの実家はカメラ屋さん。 幼い頃から父親の仕事にふれることでカメラに興味を持ち、家族写真や自然の風景などレンズがとらえた感動の瞬間に触れることで「何か残すべきものを撮影したい」、そんな思いを強く感じるようになったそうです。そして、同時に小林さんを育んだのが九州・福岡という土地と環境。都市での生活圏と自然が共存する福岡の街。より身近な場所にあった海や山での毎日の体験を通し、自然を感じる心、自然への興味を強くしてゆきます。

その後、小林さんは写真家を目指して上京、たまたま誘われて同行した屋久島での撮影体験が、その後の写真家としての道を決定づけます。屋久島での撮影は雨が多く、土砂降りの中、足場の悪い山道を移動したり、機材を雨から守ったりと大変な状況でしたが、縄文杉を目指して濡れながら歩く中、心の底からこんな森の撮影が楽しいと思えたそうです。森の自然をすべて受け入れ、その中で見て、感じ、体験することを撮影して未来に残す喜び。小林さんは以後、森の撮影に没頭してゆきます。

小林廉宜さんが教えてくれる森の愉しみかた

20年に渡り世界各地の森をめぐり、撮影を続けてきた小林廉宜さん。「アマゾン」「タイガ」「シュヴァルツヴァルト」。 こんな世界有数の森を私たちが体験出来る機会はなかなかありませんが、小林さんおすすめの身近なところで体験できる森の愉しみかたもあります。それは「森で雨を待つこと」。もともと雨の中で体験した森の撮影の楽しさから、ライフワークを心に決めた小林さん。雨で森の樹々がかすんでも、森の風景の魅力は変わることなく、逆に水滴が放つ光と樹々や草からの甘い香りに包まれ、より魅力的な森を体験出来るそうです。
 
そして、「森で夜を過ごすこと」。本来、人に備わっている「見る」という能力は二つ。一つは光に反射されたものを見ること、もう一つが「気」という内面の感覚、心の目でものごとを見ること。もちろん安全な森という前提になりますが、人工の光がない森の暗闇で一晩でも過ごすことで、内面の「気」を感じ取る人の感性は研ぎ澄まされ、心の目で見る能力を取り戻すことができるそうです。小林さんおすすめの森の愉しみかた、機会があれば是非体験してはいかがでしょう。 

『僕は本当に「みる」ということができているのだろうか? 目に見えるものだけを写そうとしているのではないだろうか!?』小林さんはこう自問自答しながら、光を写すカメラのレンズを見つめる目と心の目、両方を大切にしながら、森を愉しみ、森を撮影し続けています。



小林廉宜(こばやし・やすのぶ)
写真家。1963年福岡県生まれ。九州造形短期大学写真学科卒業。写真家・三好和義氏に師事後、1992年に独立。希少な自然や文化を撮り続ける。雑誌・広告の分野でも活躍し、2003年には玄光社「コマーシャルフォト」において「今、活躍する100人の写真家」に選出された。著書は『森の惑星』(世界文化社)、『シルクロードを行く』(世界文化社)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)『森 PEACE OF FOREST』(世界文化社)など多数。

2016.08.19

Botanical Recipe

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身体がよろこぶ!「穀物」入りカスタムサラダをつくろう!

「野菜」や「ハーブ」を使ったメニューや料理のコツを、人気シェフや料理家といった“食のプロ”に教えていただく「ボタニカル・レシピ」。
 
今回はフードコーディネーターの柳瀬久美子さんが紹介する「カスタムサラダ」の2回目。「穀物」を取り入れることでサラダもぐっと魅力的に、栄養豊かな充実の一食に変身します。

(クスクスのカスタムサラダ)

夏こそカスタムサラダに取り入れたい食材! それが「穀物」


自分好みの野菜とさまざまなトッピングを自由に組み合わせてつくる最新のサラダスタイル「カスタムサラダ」。柳瀬久美子さんが、そのカスタムサラダに夏こそ積極的に取り入れて欲しいと提案するのが「穀物」です。カスタムサラダのベースとなる食材は、野菜だけではありません。穀物をベースにさまざまな野菜との組み合わせを楽しむこともできます。
 
穀物の魅力でまず注目したいのが、お腹に溜まる割に、脂肪分やカロリーが少なくて栄養価が高いということ。さらに食物繊維やたんぱく質も豊富なので、身体がよろこぶ要素をたっぷりと含んでいます。
 
そして、もうひとつの魅力は食感です。穀物は種類によっていろいろな食感が楽しめ、それが刺激となって食欲も生まれます。プチプチとしたものだったり、歯ごたえのあるものだったり。それ自体の味や風味が強くないところもポイントで、サラダ全体の味を邪魔せずに味わうことができるという魅力も持っています。そして、どの野菜とも相性が良いので、安心して「カスタムサラダ」に取り入れることが出来ます。 

カスタムサラダによく合う穀物ベスト3
〜ワイルドライス、押し麦、クスクス

カスタムサラダに合わせたいおすすめの穀物はワイルドライス、押し麦、クスクスの3つです。黒褐色の殻でおおわれた細長いワイルドライスは、“ライス”という名前がついているもののお米ではなく、ザイザニア・アクアテイカという植物の種子です。ナッツの焦げたような香ばしい風味とプチプチした食感が特徴で、たとえばホクホクとした食感のかぼちゃとも相性抜群です。 

(ワイルドライスのカスタムサラダ)

押し麦は、五穀米や十穀米によく混ざっているもので、実は普段から意識せずとも、口にしている人も多いかもしれません。単体では、つるんとした食感でとても食べやすい穀物。食物繊維とミネラルが豊富なことで知られていて、サラダに加えれば栄養価だけでなく、食べ応えも格段にアップします。
 
クスクスはモロッコやチュニジアといった北アフリカで食べられている“世界最小のパスタ”。低カロリーですが、お腹に入ると膨れるので満足感を得やすい穀物です。ゆでずにお湯で戻すだけで料理に使えるので、実は手軽に食卓に取り入れやすい食材で、癖もないので、いろんな野菜や食材と組み合わせ、楽しめるのも魅力です。

穀物入りカスタムサラダをおいしくつくるコツは?

穀物をカスタムサラダに使うときは、炊くのではなく、ゆでて使う場合がほとんど。ぬめりが残っていると、ベチャっとした食感になるので、事前に流水で洗うことを忘れずに。押し麦やワイルドライスのゆで時間はお好みで良いですが、おすすめは「少し固め」。ドレッシングなどの水分を加えると、ふやけて食感が悪くなってしまうので、それを計算してゆで時間を調整することが必要です。ゆでた後は、必ず水気を拭き取ることも忘れずに。これを怠ると、食感が悪くなる原因となってしまいます。穀物の食感が失われると、穀物サラダの魅力も半減してしまいますので、気をつけて調理をするようにしましょう。

夏にさっぱり! タブレスタイルのカスタムサラダ

では、最後に穀物をベースにしたカスタムサラダのレシピをひとつご紹介しましょう。今回は柳瀬久美子さんが夏になると必ず食べたくなるという、クスクスを使った「タブレスタイルのサラダ」の作り方です。
 
タブレというのは、モロッコやチェニジアで昔から食べられているクスクスを使った冷たいサラダのこと。パリでも人気のサラダで、街のデリでも必ず売られている定番サラダです。
 
まず、クスクスをボウルに入れて熱湯を注ぎ、軽く混ぜたらラップをして15分。これでクスクスを戻します。戻したクスクスを手でほぐし、トマト、キュウリ、タマネギなど好きな野菜をたっぷりトッピングして、ミントとインタリアンパセリを加えます。ドレッシングのソースはレモンの絞り汁に塩とオリーブオイルとコショウを加えて混ぜたもの。サラダにこのドレッシングを混ぜたら、ラップをして冷蔵庫の中に1時間。これで全体に味がなじみ、おいしく出来上がります。
 
「レモンを効かせたドレッシングとミントがさっぱりしていて、それにクスクスのパラリとした食感が合わさると、癖になります!そして夏にもぴったりです。」と柳瀬さん。ちなみに、このサラダは作り置きができるものなので、たっぷり冷蔵庫にストックしておくのがおすすめ。夏になると日が長くなるパリでは、この時期ピクニックが盛んになりますが、そこでも常連メニューのひとつなのだとか。キリッと冷えた白ワインにも合いそうですね。

(押し麦のカスタムサラダ)

「穀物」によってサラダはよりスペシャルフードに変身することができます。栄養豊富で身体も心もパワフルになれる穀物ベースのカスタムサラダを、ぜひこの夏の時期に楽しんでみてください。次回は、サラダに甘酸っぱさを加えてくれ、これも食欲を刺激してくれるフルーツをベースにしたカスタムサラダをご紹介しましょう。
 

柳瀬久美子(やなせ・くみこ)
レストランや洋菓子店などでの修行を経て、渡仏。エコール・リッツ・エスコフィエでディプロマを取得。帰国後、独立し、書籍や雑誌、広告などで幅広く活躍中。本格的な味わいで美しい料理に定評がある。自宅では料理教室とお菓子教室を主宰。 

2015年6月に発売された『カスタムサラダ』(朝日新聞出版)は、自分で好きなトッピングや組み合わせを選んでつくるカスタムサラダのレシピ本。おいしくつくるサラダのルールにはじまり、葉物野菜ベース、穀物ベース……とベースの野菜別で紹介するサラダレシピや、フルーツを使った色鮮やかなフルーツサラダのレシピを収録。今話題のカスタムサラダを家庭でも楽しむことができる1冊となっている。

2016.08.12

Botanical Books

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ページをめくるたび地球を感じる「森」の写真集

代々木公園、吉祥寺公園など、身近な緑豊かなスポットが人気を集めています。写真におさめたり、ハイキングをしたり、木陰でのんびり過ごしたりと、「森」の感じ方や「森」から受け取るメッセージは人それぞれです。世界中の森林を撮影し続ける写真家、小林廉宜さんは、世界各地の森を撮影していくなかで、豊かな自然に出会っただけでなく、そこにあるメッセージを発見します。
 
「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などを毎回お届けする「ボタニカル・ブックス」。今月は、小林廉宜さんの写真集『森 PEACE OF FOREST』をご紹介します。 

『森 PEACE OF FOREST』(小林廉宜/世界文化社)

地球はひとつの森である

小林廉宜さんの写真集『森 PEACE OF FOREST』 には、さまざまな森の表情が収められています。中でも今回の作品で特徴的なのは、空撮写真です。世界最大の熱帯雨林であるアマゾンや、ロシアの果てしないタイガ林、カナダのメープルの森と、その奥には地平線が見え、空へと繋がります。小林さんがこの写真集のコンセプトとしているのは、「地球がひとつの森である」ということ。空撮写真の一枚一枚は、まさにそれを表しているかのようです。 

小林さんが森を撮りたいと思ったきっかけは、20年以上前の屋久島でのこと。大雨の日、カメラを守るのに精一杯になりながらも、縄文杉を撮ったり、ウィルソン株の中に入ったりしながらその楽しさに魅了されてゆきます。 下から木を見上げたり、木の株の中から森をのぞいたり、そこで感じた木々のエネルギーをこう語ります。
 
「森の中には、1億5000万キロ先からきた太陽の光と、1000年以上の歴史を生きた樹々の生命が一緒に存在しています。それを強く感じてからは、どんどんと森に心を惹かれていきました」

ドイツの「黒い森」の秘密 


ドイツ、シュヴァルツヴァルト。ドイツ語で「黒い森」と呼ばれ、小林さんも一度は行きたいと思っていた、世界的に有名な森のひとつです。針葉樹と、ブナの木。二層のコントラストが特徴ですが、なぜこのように二種の木々が共存する森になったのでしょうか。
 
もともと生い茂っていたのは針葉樹。その色の濃さを遠くから見ると、密集していて黒っぽく見えることから「黒い森」と呼ばれるようになったそうです。ただ、針葉樹は根が浅く、酸性雨に弱いことを現地の人々は懸念していました。「森がなくなってしまうかもしれない」、そう考えた人々は、300年程前、根が深く酸性雨にも強いブナを植えました。そして300年でブナが美しい緑に育ち、もともとあった色の濃い針葉樹との美しいコントラストが生まれたのです。
 
名前だけ聞くと暗く不気味な世界をイメージしてしまう「黒い森」。ところが、5月にこの森を訪れたという小林さんは、思わず「黒い森の中は黒くないんだ!」と口に出してしまったほど、大きくイメージを覆されます。新緑がとてもきれいで、地面はフカフカやわらかく、雨上がりでできた即席の川に水が流れ、爽やかな風が通り抜けます。
 
「いい森だなぁと思う森の近くには、代々森を守ってきた、素敵な家族や人の存在があります。人々は森の恩恵を受けながら過ごし、森を守りながら生きていく—」 

撮影していて、そういう森とたくさん出会ったと話す小林さん。ドイツの「黒い森」と生きる家族、マダガスカルでバオバブの木の幹によりそう少年たち、デンマークで鹿が住む公園でベビーカーを押す家族など、実はこの写真集の森の風景に欠かすことが出来ないのが「人」の存在です。ただただ自然に圧倒される作品でなく、人、家、動物たちも堂々とフレームの中に存在する姿こそが小林さんが思う「理想の森」なのです。

PEACE OF FOREST 〜タイトルに込めた想い


滝や川、地上にデコボコに張り巡らされた根っこ、暗闇に吸い込まれそうな深い森。小林さんの作品にはもう一つ、ただ美しいだけでなく、自然の力強さや激しさもとらえられています。初めて足を踏み入れた森を撮るのに危険はつきもの、相当過酷な仕事なのではないでしょうか?小林さんはよく、こう質問を投げかけられるのだそうです。
 
「森を撮っていて、危ない出来事に出会ったことは、実は一度もありません。もちろん、“夜は歩かない” “危険な場所には立ち入らない”などと、最低限のルールを守ってのことです。それどころか、行く先々で現地の方々に良くしていただいてばかり。そんな、いい思い出しかないんです。森、自然、そういうことを考えていれば、世の中は平和で良い方向に進むのではないかと思うんです」
 
ご自身のそんな経験と願いを込めて、写真集には『森 PEACE OF FOREST』とタイトルがつけられました。巻末にしたためられたエッセイを、小林さんはこう締めくくっています。「豊かな森があるところに争いは生まれない。Peace of Forest 奇跡は森から起きる」(『森 PEACE OF FOREST』P229より)
 
ページを開くたびに森林浴をするような、ゆったりとして、爽やかな気持ちになれる。樹々の生命力が夏バテを吹き飛ばしてくれそう、そんな「森」の写真集をご紹介しました。
 

小林廉宜(こばやし・やすのぶ)
写真家。1963年福岡県生まれ。九州造形短期大学写真学科卒業。写真家・三好和義氏に師事後、1992年に独立。希少な自然や文化を撮り続ける。雑誌・広告の分野でも活躍し、2003年には玄光社「コマーシャルフォト」において「今、活躍する100人の写真家」に選出された。著書は『森の惑星』(世界文化社)、『シルクロードを行く』(世界文化社)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)など多数。
 

2016.08.05

Herbal Life

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フラワーアーティスト壱岐ゆかりさんに聞く、“花で残す素敵な思い出”

原宿にあるフラワーショップ「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」。その都会の真ん中とは思えない緑に囲まれた清々しい空間では、独特でハイセンスなアレンジメントが人気を集めています。


例えば、それはドライフラワーやプリザーブドフラワーを使ったアレンジメントや、ガラスのフレームにはさんだ押し花など。どれもが少しでも長く花を楽しみたいというお客さまのご希望に応えたものばかりです。
 
8月のハーバルライフは、店主であるフラワーアーティスト壱岐ゆかりさんが教えてくれる「花で残す素敵な思い出」をお届けします。

花のインテリアで「素敵な記憶」を長く飾る


「記念日に恋人に贈る花束は、その日のことを長く覚えていて欲しいから、部屋にずっと飾っておける、長持ちする花束をつくって欲しい」「ウエディングブーケを二人の記念にドライフラワーにして残したい」そんなお客さまのさまざまな要望に向き合って生まれた新しいコンセプトが、「素敵な記憶を残す花屋」というもの。壱岐さんがこのお店で提案するのは、ただの飾りではなく、そのときの気持ちを長くとどめておける、世界でたった一つの花のプロダクトです。ドライフラワーやプリザーブドフラワー、そして押し花などを用いた新しいアイディアが、特別なインテリアとしての花の可能性を広げています。

“押し花”の魅力

気持ちを長くとどめておく方法として、壱岐さんが特に注目するのが“押し花”です。特別な道具がなくても自分たちで手軽につくれる押し花に、あなたもチャレンジしてみませんか。たとえば旅先の自然の中で出会った花を押し花にして、フォトフレームに写真と一緒に入れて飾ったり。外出先で撮影した写真をながめるのも、帰宅後の楽しみの一つですが、押し花も同じ。幸せな時間を写真以上に蘇らせてくれるかも知れません。

美しい押し花の作り方

押し花をより美しく作るには、市販されている「押し花乾燥シート」を使うのがおすすめです。雑誌や本にそのままはさんでつくるイメージが強い押し花ですが、乾燥に時間がかかってしまうと、色がくすむ原因になります。パリっと形よくキレイな色に仕上げるには、乾燥時間を短縮してくれる、この「押し花乾燥シート」が便利です。乾燥シートの上に押し花にしたい花を並べ、もう一枚の乾燥シートではさんで、上に数冊本を置いておくだけで1週間ほど経てば美しい押し花が出来上がります。より短時間でつくる方法もありますが、押し花は出来上がるまでの経過にも風情があるもの。その花にまつわる記憶や思いとともに出来上がりまでの時間を過ごすのが、押し花作りをより楽しむ秘訣です。

押し花ならではの美しさと楽しさとは?

押し花の美しさは、咲いているときには見えない花びらの色合いや、鮮やかに浮き出す葉脈など、“平面だからこそ見えてくる美”。たとえば「月見草」などの小さくて可憐な花や、様々なハーブも押し花には最適です。そして、同時に、壱岐さんが提案しているのが「自分で作った押し花を相手に届ける」ということ。例えば、手紙の最後に相手が好きな花の押し花を貼って感謝の気持ちを表したり、季節の贈り物に旬な花の押し花を添えたり。さりげなく、自分の思いを込めて贈ることができるのも、押し花の良いところです。
 

壱岐さんがこれまでに出会った花とお店の日々を写真に収めて、自主制作したフォトブックが『THE LITTLE SHOP OF FLOWERS』。思い出がたくさんつまったこの本にも、中をひらくと小さな押し花がひとつ登場します。ひとつひとつ手作業で作り、貼ったというその押し花も、花とともに出会った人、一人一人のお客さまへの感謝の気持ちを表したものとなっています。
 
植物がもたらす美しさは、その見た目だけでなくそれにまつわる思い出や気持ちやストーリーにまで及びます。「見て素敵! 」という美的感覚から一歩進んで、その人にとって特別な意味が込められたものを日々の生活に取り入れてみる、飾ってみる。そんなライフスタイルを楽しめるのも、花や植物ならではの魅力です。
 

壱岐ゆかり(いき・ゆかり)
明治神宮前の一軒家フラワーショップ「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」主宰。フラワーアーティスト。 インテリアショップ、ファッションプレスなどを経て、週末だけのフラワーショップを代々木上原にオープン。日々の小さな贈り物の提案から展示会やパーティ、結婚式の装飾・演出などを独特のスタイルで展開。現在は、明治神宮前の一軒家に本店を構える。2016年9月には新店オープン予定。