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あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で輝くライフスタイルを!

植物のめぐみを取り入れたライフスタイル「BOTANICAL LIFE」を、テーマ別に週替わりでご紹介します。
植物の世界からあなたに届く「美しい贈りもの」です。

2016.07.29

Botanical Journey

Botanical Journey2
沖縄・東南植物楽園 日本一の椰子の楽園で癒される旅

沖縄本島沖縄市に位置する東南植物楽園。広大な敷地に1300種類の植物が茂る南国ムード溢れるオアシス。見所は日本ではここだけでしか出会う事のできないダイナミックな椰子の風景です。今回のBOTANICAL JOURNEYは、様々な種類の椰子と出会える日本最大の野外型熱帯・亜熱帯植物園をご紹介します。

(東南植物楽園 ユスラヤシ並木)

南国に集まった貴重な植物たち!

沖縄・東南植物楽園は、創業から50年の歴史を持つ植物園。ここでしか見られない種類の亜熱帯・熱帯植物たちが自然な形で植栽・展示され、地元沖縄の人たちはもちろん、旅行者たちを驚かせています。例えば、アフリカやマダガスカル原産の「バオバブ」。16世紀にアフリカを旅したイタリア人の植物学者が名付け親のこの植物、丸みを帯び直立した太い柱状の幹の上に、冠のように小さな緑の葉を茂らせます。寿命も長く5000年以上生きるとも言われています。ちなみに、東南植物楽園のバオバブは40年前にマダガスカルからやって来たものですが、40年経ってもまだまだ樹としては「赤ん坊」なのだそうです。また、リュウゼツラン科の「リュウケツジュ〜竜血樹」は「竜血」という名の通り、真っ赤な樹液を持つ、古代ローマの時代から薬用や染料として重宝されてきた貴重な樹。推定で7000年生きたものがあるとの説もあり、長寿の植物としても知られています。ちなみに沖縄・東南植物楽園にある「リュウケツジュ」は推定樹齢200年だそうです。

(左: バオバブ / 右: リュウケツジュ)

そして極めつけが、豊富な種類の数々の椰子。日本国内のほとんどの植物園では熱帯の椰子類は、温室か空調管理された建物の中でしか冬を越せないため、青空の下でゆったりと風に揺られる、椰子の木本来の姿を楽しむ事ができるのはここだけ。園内では約40種類の椰子を見ることができますが、中でも大きく育った日本一の「ユスラヤシ並木」は壮観です。

椰子とはどんな植物?


すらりと伸びた幹の先端から、掌状や羽根状の葉を広げ、風に揺れてしなる姿が特徴的な椰子。一番先端部分からしか成長が起こらず、途中から枝別れすることがほとんどないことが特徴で、そのためすらりと伸びた幹を持っています。その幹はまっすぐ伸びるものと、湾曲するものがありますが、その姿は原産地に吹く風の強さや気候で決まっていったそうです。また、椰子の葉も風に耐えられるように、細く切り込みが入って強い風にも耐えられるようになっています。
 
椰子は仲間の数が多く、300属、3000種程度が、世界中の熱帯から亜熱帯を中心に分布、日本には7種が自生しています。この南国の風景に馴染んだ椰子の木ですが、風景だけではなく、同時に人々の生活に欠かせない植物として、古くから親しまれてきました。葉は籠や屋根、衣類などに使われ、果実は飲み物や食べ物、嗜好品として利用されています。また、種子からは油を取ることもでき、熱帯地域の重要な産業として根付いています。最近では椰子の実のジュースをベースにした飲みものも現れ、ミネラル、カリウムなどを多く含み、体への浸透速度の早さでスポーツ後の水分補給の飲料としても人気を集めています。
 
南国のムード、楽園の象徴ともいえる椰子の木の姿、そして椰子から届く「贈りもの」の数々。その存在は都会に住む私たちの普段の生活にも欠かすことのできないものになっています。東南植物楽園はそんな椰子たちの世界に直接触れ、ゆったりとした癒しの時間を過ごすことができる場所です。

植物園は雨の日もおすすめスポット!


さて、せっかくの貴重なお休みで実現した南国でのバケーション、毎日を太陽の下で過ごせれば最高ですが、自然の空に雨はつきものです。特に沖縄は梅雨時以外でもスコールなど意外に雨が多い事でも知られています。そんな時にがっかりせずに足を運んでいただきたいのが、この東南植物楽園です。雨は植物についた汚れを洗い流し、緑の輝きも増し、花々についた水滴はまるで真珠のようにきらめきます。植物への天のめぐみの雨。その雨で生命力を取り戻す植物たち。水を得た植物の香りや輝きは、同時に私たちの旅の気分や時間も輝かせてくれます。
 
東南植物楽園は周りが成長した椰子に覆われて建物は見えないため、ハワイやバリのような異国情緒あふれる景色にたくさん出会うことができます。そんな環境の中、朝昼夕、そして夜、太陽の位置や吹く風、そして雨によってさえも椰子や植物たちの表情は、まるで生きているように移り変わり、訪問者を楽しませてくれるのです。
 
沖縄「東南植物楽園」
http://www.southeast-botanical.jp/
 

2016.07.22

Botanist

Botanist4
写真家、今森光彦さんの「里山」への思い

自然が大好きだった少年は、自然を扱う写真家に。写真家、今森光彦さんの創作の原点に常にあるのが、子供のころ遊んだ里山の記憶や、その後仕事を通して大自然の中で出会った命の素晴らしさや感動です。琵琶湖にほど近い里山のアトリエで、その「自然」への思いをうかがいました。

植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今月は写真家の今森光彦さんが登場。その活動とメッセージをご紹介します。

命を育む林に囲まれたアトリエ


琵琶湖にほど近い山里の深い森を抜けると、突然ひらけた棚田の風景が目に飛びこんできます。そして、その棚田の先に緑の樹々に囲まれて建つのが、写真家、今森光彦さんのアトリエ兼自宅です。周辺には自ら耕す畑や巨大なヒノキの林。まるで自然の森を切り拓いて造られた別荘のようなたたずまいですが、実はこの自然環境は今森さん自身が、30年の歳月をかけて大切に育てたものです。
 
今森さんは約30年ほど前にこの場所に偶然出会い、即座にここにアトリエを建てて住もうと決心したそうです。もともとあったヒノキの林をほんの少し残し、自ら道を造り、池を造り、なんとクヌギとコナラも数百本、自身の手でひとつひとつ植えていきました。その後、その樹々に鳥があつまり、その鳥が食べ、フンと一緒に落としていった植物の種が育ち、自然の林が出来上がってゆきました。つまり、ここの自然をつくったのは今森さん自身と鳥たちだったのです。
 
「もともと僕は、この琵琶湖の近くで育ちました。ここの自然や生き物に育ててもらったと言っていいでしょう。だから、あの頃の自然環境をどうしても再現したかった。実は、このアトリエの林に鳥がいっぱい集まってくるのは、虫が豊富にいるからです。どんな小さなものでもこの世に必要とされていない生き物はいません。まず、植物という基本があって、虫がいて、鳥がいて、生命が繋がってゆく。 ここのアトリエの自然も今、やっと自分が作りたかった環境に近づきつつあります」

おいしく食べることも自然を守り育むこと


今森さんがアトリエを包む自然環境を守る上でとても大切な存在と語るのが「薪」です。今の日本が直面する自然破壊の問題の一つが放置林。自然はただそのままにしておけばいいという認識は間違いで、人が生活の中で林に手を入れる事で、そこによりよい自然環境が生まれるそうです。定期的に木を切る事で、林の中に日が差し込み、生き物も喜びます。そして、とれた薪はピザ釜やマキストーブにも使い、また、細い枝は落ち葉と一緒にして腐葉土を作り、無農薬の野菜をつくるときに活用。今森さんのアトリエでは全く無駄なくエネルギーが循環しています。
 
「僕は美食家ではありませんが、食にはこだわります。おいしいものをおいしく食べないと食材に失礼、自然に申し分けないと感じるからです。食べると言う行為も自然と強く繋がっています。林を守るために切った薪でおいしいピザや肉、魚を焼く事で、ここの環境整備に貢献出来ていると言うわけです。そんな事に気がつけたのも、ここの生活での学びを通してなんです」

里山の本当の意味を知って欲しい


今森さんは「里山」という言葉を、単なる「山」ではなく、そこに人が関わる事で作物を得、エネルギーを得て、また、それを自然に返してゆくという循環がある場所だと考えています。「里山」とは場所の定義ではなく、人の暮らしが入っている自然という意味。ここ半世紀、私達は、開発という名目でこの「里山」の環境を失って来ました。でも、今森さんは復活も可能だと語ります。
 
「大事なことは、自分が自然に参加している事実を認識することです。自分も常に自然の中で生きていて、自然に生かされているということを意識して欲しい。たとえそれが都会のベランダであっても、近くに街路樹など緑は必ずあり、そこには雨もおちて来ます。自然はどこに行こうと永遠になくなりません。人は常に自然の中で生きている。是非、それに気がついて、喜びを感じて欲しい。都会の小さなベランダ、部屋の中の小さな鉢植えであっても、そこは自然の一部であり、里山と繋がっているんです!」
 
ベランダで植物や花を育てることからでも、自然に生かされている自分の存在を認識し、そこから自然や里山の存在が復権して欲しいー。これが、今森さんの願いです。今森さんは、それを自身のアトリエを包む環境で自ら実験、実証しているのです。
 
 
「子供のころの里山や、その後、大自然の中で出会った命の素晴らしさや感動を伝えたい!」そう願う今森光彦さんが今、最も力を入れている表現方法が「ペーパーカット」。その「実物」を見る事ができる展覧会も開催中です。
 

今森光彦ペーパーカット展「どうぶつ島たんけん」
ブッシュの中のライオン、アボリジニーの家族と追いかけたカンガルー。熱帯雨林からサバンナまで世界中旅した今森さんの思い出がつまった動物のペーパーカット作品が展示されています。
 
会期:2016年7月4日(月)~  9月2日(金)
開催時間:午前 10 時~午後 6 時(土・日・祝日は午後 5 時まで)        
会場:ノエビア銀座ギャラリー(株式会社ノエビア 銀座本社ビル 1F)      
入場無料
主催:株式会社ノエビア
 
 
今森光彦(いまもり・みつひこ)
1954年滋賀県生まれ。写真家。切り紙作家。
大学卒業後、独学で写真技術を学び、1980年よりフリーランスの写真家となる。以後、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、自然と人との関わりを「里山」という概念で追う一方、世界各国を訪ね、熱帯雨林から砂漠まで、生物の生態を取材し続けている。切り絵作品集は『魔法のはさみ』(クレヴィス)、『むしのあいうえお』(童心社)、『どうぶつ島たんけん』(小学館)など多数。

2016.07.15

Botanical Recipe

Botanical Recipe4
自由奔放!カスタムサラダをつくろう

「野菜」や「ハーブ」を使ったメニューや料理のコツを、人気シェフや料理家といった“食のプロ”に教えていただく「ボタニカル・レシピ」。
 
今回から3回に渡ってお届けするのは、フードコーディネーターの柳瀬久美子さんが紹介する「カスタムサラダ」。その魅力や作り方のコツ、オリジナルのレシピなどをお届けします。
 

パリで出会った楽しげなサラダ、それがカスタムサラダ!


カスタムサラダとは、自分好みの野菜とトッピングを自由に組み合わせてつくる、とっておきのサラダのこと。柳瀬さんがこのカスタムサラダと出会ったのは数年前のパリでした。仕事上、外食が連日続いて胃がヘトヘト。そんなときに街中で偶然見つけたのが、カスタムサラダの専門店だったのです。ファーストフード店のような気軽な雰囲気で、店内のショーケースの中には何十種類もの野菜、そしてチキンやナッツといったトッピングが並んでいます。その中からベースの野菜を決定し、好きなトッピングを好きなだけオーダーし、最後にドレッシングをセレクト。それらを店員さんが、ボウルで大胆に混ぜ、大きな器に盛りつけてくれるというシステムでした。
 
当時柳瀬さんがオーダーしたのは、ベースの野菜にほうれん草、トッピングにチキンのグリル、トマト、ナスのマリネ、数種類のチーズとナッツ。ドレッシングは、バルサミコソースを選んだそうです。
 
「オーダーしている最中、お店の人が“これはいらない?”と陽気に話しかけてくるんです。その感じが、何だか楽しげで、よりおいしく感じました!」と柳瀬さん。この自由奔放でわくわくするサラダを、一瞬で気に入ってしまったのは言うまでもありません。サラダだけなのに、充分なボリュームでお腹はいっぱい。だけど胃がもたれないことがとても嬉しかったそうです。
 

カスタムサラダはニューヨークで発祥して世界の食トレンドへ!


ちなみに、カスタムサラダの発祥はニューヨーク。ヘルシーな食文化が発達するこの街では、数年前から「sweet green」などのカスタムサラダのお店がオープン。 近頃の食トレンドはワールドワイドで同時に動く傾向があるそうで、ニューヨークとほぼ同時にパリにも流行が到来しています。“並ばない”ことで有名なニューヨーカーたちも、こぞって、サラダだけしか売られていないお店に殺到、女性だけではなく男性ビジネスマンも多く、行列をつくっています。「サラダだけだとパワーが出ない!」という常識を覆し、ニューヨーカーの「パワフルフード」としてもはやランチの定番になっています。
 

 “野菜たっぷり”をおいしく叶えるカスタムサラダ

ヘルシー志向が高まる中、柳瀬さんが考えるカスタムサラダの魅力は“野菜たっぷり”をおいしく叶えるところ。誰もが野菜をたくさん摂りたいと思っているものの、レタスときゅうりとトマトに市販のドレッシングをかけるだけ……というようなありきたりな味のサラダでは飽きてしまいます。でも、それにハムやチキンなどの動物性たんぱく質をトッピングしたり、ドレッシングを工夫したりすればバリエーションは無限大。味にも飽きず、たくさんの野菜を摂ることができます。
 
では、柳瀬さんに普段のサラダづくりにも取り入れて欲しい「カスタムサラダ」をおいしくつくるコツをおうかがいしましょう。
 

カスタムサラダをおいしくつくるコツ1
「葉野菜の歯ごたえを良くする方法」

「カスタムサラダ」のベースとなるのが葉野菜。その準備の仕方や切り方で味が大きく違ってきます。今回はまず、その葉野菜の準備の仕方のコツをご紹介しましょう。
 
まず大事なのは「水揚げ」。これは、ぐったりしてしまった切り花に、水を再び吸わせてあげることによって元気にしてあげるのと同じ感覚です。葉物野菜の根元を冷たいお水に10〜15分ほどつけて、シャキっとさせます。次に、さっと振り洗いするような感じで汚れを取り、傷んでいる部分を取り除きます。
 
使わない部分はペーパータオルに包み、ポリ袋に入れて密封して冷蔵庫に保存。サラダにする分は、更に10~15分氷水につけてパリっとさせてから使います。このひと手間が、ドレッシングを和えてテーブルに出してからしんなりするまでの時間を長くしてくれるのです。少し手がかかるように思えますが、これによって野菜のシャキシャキ感が格段に増します。
 

また、切り方は野菜の種類によって使い分けることが大切。たとえば定番のレタスなら、サニーレタスなどリーフ系のレタスは手でちぎって使います。そして丸レタスやロメインレタスは包丁でざく切りに。こうすることで歯ごたえが残り、サラダの完成度が高まります。
 
「これらは知恵として知っておくことが重要 “そうしなくちゃいけない” と考える必要はなくて、知識として知っておいて、余裕のあるときに実践するぐらいの感覚でいるのが、自分でつくるときには良いと思いますよ。」(柳瀬さん)。
 
サラダが好きな人も、苦手な人も最新のサラダスタイル「カスタムサラダ」を試してみたくなったのではないでしょうか。次回もその魅力とレシピをお届けします。
 
 
柳瀬久美子(やなせ・くみこ)
レストランや洋菓子店などでの修行を経て、渡仏。エコール・リッツ・エスコフィエでディプロマを取得。帰国後、独立し、書籍や雑誌、広告などで幅広く活躍中。本格的な味わいで美しい料理に定評がある。自宅では料理教室とお菓子教室を主宰。

2015年6月に発売された『カスタムサラダ』(朝日新聞出版)は、自分で好きなトッピングや組み合わせを選んでつくるカスタムサラダのレシピ本。おいしくつくるサラダのルールにはじまり、葉物野菜ベース、穀物ベース……とベースの野菜別で紹介するサラダレシピや、フルーツを使った色鮮やかなフルーツサラダのレシピを収録。今話題のカスタムサラダを家庭でも楽しむことができる1冊となっている。
 

2016.07.08

Botanical Books

Botanical Books4
ツールは紙とハサミだけ! 自然の美しさに改めて気づかされる「切り紙」の世界

色鮮やかな花々、そこにふんわりと羽を休める優雅な蝶たち。昆虫、動物、草木や水のざわめき。自然界には「美しい!」がたくさんあり、人はその感動を「表現したい」「誰かに伝えたい」と思います。
 
写真家として世界各国を取材していた今森光彦さんが、たどり着いたその手段が「切り紙」でした。

「植物」に関しての名著や新刊書、写真集などを毎回お届けする「ボタニカル・ブックス」。今月は、切り紙作家でもある今森光彦さんの作品集『Aurelian 今森光彦 自然と暮らす切り紙の世界』をご紹介いたします。
 

『Aurelian 今森光彦 自然と暮らす切り紙の世界』
(著 今森光彦/クレヴィス)

切り紙での表現は小学生時代から


今森さんの切り紙作品は、植物、鳥、昆虫など、すべては自然がモチーフです。その創作活動が始まったのは、小学生時代から。外で遊ぶこともしましたが、家ではしょっちゅう切り紙をしていたという今森さん。キットを使ったクラフト作業ではなく、その頃から既にそれは“表現する作業”。自然の中で様々なものを見て「美しい」と感じたその感動が、心の中で収まりきらず、何かで表現したいと思った時にたまたま家にあったのが、「紙」と「ハサミ」だったといいます。切ったり色をつけたりと、現在とほぼ同じ技法を小学生時代に自然に身につけていました。20代、30代は写真家として表現していましたが、40代に入り少し落ち着いてきた頃、ふと思い出した切り紙。それを再びやってみたところ、写真以上の表現となることに気づいたのだそうです。
 
切り紙は、自分が何をおもしろいと思っているかが写真以上に表れると今森さんは言います。被写体を見たまま残せる写真にこそ、自分の興味が表れるかのように思いますが、なぜ今森さんはそう感じるのでしょうか。
 
「現物から紙に移行するプロセスの中で、写真以上にモチーフを観察し、頭の中で整理します。例えば白黒の紙を使うとしたら、どこをどう切ったらあそこを黒くできるか……など。さらに、美しい部分をより美しく、美しくない部分はあまり強調せず……という無意識のデフォルメが入ります。それによって、写真で見ると“気持ち悪い”と言われることが多い毛虫や蛾(が)でも、切り紙にしたらそんなことを言う人は誰もいません。切り紙にはそんな“作品に参加する楽しみ”があります」。確かに今森さんの作品には、昆虫の細い足に生えた細かな毛にまで見入ってしまう不思議な魅力があります。

作品づくりで重要なのは「本物を見て感動する」こと


今森さんが切り紙創作で使う道具は、“ラシャ”という種類の紙と、先が尖ったハサミ1本だけ。道具にはそこまでこだわらず、“本物を見る”というプロセスに重きを置きます。琵琶湖の田園近くで過ごした幼少期や、写真家として世界各国の熱帯雨林やサバンナを訪れ、多くの“本物”を見てきた経験が、今の作品づくりに大いにいかされています。絵画風、下書きをしない即興切り、立体切りなど、切り紙にも様々な表現スタイルがありますが、今森さんはスタイルに強くこだわらずに、やれるものは全部やるというスタンス。ただそこにあるのは「命」だという芯は揺るぎません。
 
切り紙をやってみたい、もっと上達したいという人に言いたいことも「まず本物をたくさん見てほしい」ということだそうです。それを理解した上で、もうひとつ初心者にオススメするなら、紙を二つに折ってから切り、最後に開いて完成する、シンメトリー(左右対称)作品。花や昆虫など、実は自然界には左右対称のものはたくさんあります。多少切るのが下手でもシンメトリーならきれいに見えるので、初心者の方はそこからチャレンジしてみても良いかもしれません。

自然に触れて得られるのは「感性の栄養」


今森さんがアトリエを置く滋賀県で、子ども向けに開催している「昆虫教室」。今森さんと子どもたちが一緒に里山を巡り昆虫を学ぶ企画です。子どもたちは目の前の昆虫採取に夢中になっていますが、目的としているのは、虫をとることではなく“自然と触れ合う環境を与える”ということ。今森さん流の言葉で言うとそれは“感性の栄養”。食べることばかりが栄養ではなく、感じることそのものが栄養になります。学校教育だけでは足りない、“感じる”ための環境を子どもたちにたくさん与えたいという想いで活動しているのだそうです。
 
幼少期から現代までずっと変わらないのは、自然が大好きだという気持ち。「見たもの全部を作品化したい」そんな壮大な夢を持つ今森さんの切り紙作品集は、全200ページ、分厚くずっしりと贅沢な1冊です。クーラーのきいた涼しい部屋で過ごす、快適な初夏のおともにいかがでしょうか。
 

作品集から「どうぶつ」作品を集めた展覧会も開催されています。 
 

今森光彦ペーパーカット展「どうぶつ島たんけん」
ブッシュの中のライオン、アボリジニーの家族と追いかけたカンガルー。熱帯雨林からサバンナまで世界中旅した今森さんの思い出がつまった動物のペーパーカット作品が展示。
 
会期:2016年7月4日(月)~  9月2日(金)
開催時間:午前 10 時~午後 6 時(土・日・祝日は午後 5 時まで)        
会場:ノエビア銀座ギャラリー(株式会社ノエビア 銀座本社ビル 1F)       
入場無料
主催:株式会社ノエビア


今森光彦(いまもり・みつひこ)
1954年滋賀県生まれ。写真家。切り紙作家。
大学卒業後、独学で写真技術を学び、1980年よりフリーランスの写真家となる。以後、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、自然と人との関わりを「里山」という概念で追う一方、世界各国を訪ね、熱帯雨林から砂漠まで、生物の生態を取材し続けている。切り絵作品集は『魔法のはさみ』(クレヴィス)、『むしのあいうえお』(童心社)、『どうぶつ島たんけん』(小学館)など多数。
 

2016.07.01

Herbal Life

Herbal Life4
夏を涼しく演出〜アイスティーに合うハーブセレクション

エネルギッシュな夏がいよいよ本番化する7月。そんな時期を心地よく過ごすために、ぜひデイリーに取り入れて欲しいのが、アイスハーブティーを楽しむ時間。夏の身体が喜ぶ香りや効能に加え、見た目にも涼しげな色合いなど、夏のアイスハーブティーの魅力は格別です。お気に入りのグラスで、カランと鳴る氷の音を聞きながら、とっておきのティータイムを過ごしましょう。

アイスハーブティーを美味しく作る方法

アイスハーブティーを楽しむには、主に「ホットで抽出したものを冷やす」方法と「水出しによって抽出する」という2つの方法があります。前者はホットハーブティーと同じ方法で作ったものを冷ます方法で、ハーブの容量を少し多めにしておくのがポイント。ハーブの成分や香りを重視する場合は、こちらがおすすめといわれていますが、“夏ならではのアイスハーブティータイム”を楽しむなら、苦みが少なくてのど越しが良くなる水出しがおすすめ。使うと便利なのは、フィルターが中に付いている水出し茶用のボトル。これにハーブを入れて、常温のミネラルウォーターを注いで、冷蔵庫の中に置くこと約1日。水で抽出することにより、ハーブの渋み成分が控えめになった、まろやかな味のアイスハーブティーが出来上がります。 

水出しのアイスティーと相性が良いのは、
ミントとマロウブルーとハイビスカス


水出しのアイスティーに合うハーブベスト3は、水でも味がしっかり出やすいミント、ハイビスカス、マロウブルーです。中でも、ハーブの代表格といわれるミントは、メントールの清涼感が暑い日にぴったり。気持ちをリフレッシュさせてくれるだけでなく、健胃作用や整腸作用もあるので、夏の弱った胃腸を回復させる効果もあるのだとか。お好みでガムシロップを加えると、独特の甘苦さが楽しめます。

南国をイメージさせる姿が美しいハイビスカスの花。そのハーブティーをクレオパトラが美容のために愛飲していたのは有名な話ですが、すぐに味が出るハーブなので、水出しでも10分ほどつけておけばキレイなルビー色に。ひと口飲むと広がるほのかな酸味は、主にクエン酸によるもので疲労回復や夏バテにも効くことで知られています。 

夏の暑さと紫外線で疲れた肌に良いとされるマロウブルーのハーブティーは、幻想的なブルーが個性的。お湯で抽出すると、すぐに酸化して薄い灰色に変わってしまうので、色を長く楽しむには、水出しがベスト。まず作り立てのブルーから、時間が経つにつれて徐々に紫に変化し、レモンを加えると、紫から薄いピンク色に。夜明けの空のように、ロマンチックに色が変わる様子から「夜明けのハーブティー」ともいわれていて、その見た目にも不思議な癒し効果があるハーブです。味がほとんどないため、ハチミツやシロップを加えて楽しむのが良いとされています。
 
その日の気分や自分の身体の調子と相談しながら、丁寧に作るアイスハーブティーは、それだけで特別な1杯。毎朝、出かける前に1 日のエネルギーチャージとして飲んでもいいですし、おしゃれなマイボトルに入れて持ち歩いても良いですね。さまざまな夏のシーンに合わせて、上手に取り入れれば、爽やかで潤いのある夏を過ごすことができるでしょう。